転造とは
転造は素材に力を加えると元に戻らない性質を利用して成形する、塑性成形の一種です。転下と呼ばれる径に加工された素材に、ダイスと呼ばれる金型を取り付けた転造盤によって、強い圧力を加え転下径をネジや歯車の形状に盛り上げて成形する加工方法です。加工手段は主に3つの方法に分類され、平面ダイス転造、丸ダイス転造、プラネタリ転造があります。
転造の3つのメリット
①転造の加工プロセスでは、素材のファイバーフロー(繊維状金属組織)がつながったままで、強い圧力により密度が高くなり、さらに加工硬化を起こします。ファイバーフローを分断してしまう切削ネジ加工に比べて、転造ネジはネジの接合強度が最大1.5倍向上します。この「強度」が加工品の信頼性を支える要因となっており、航空機や自動車、新幹線の油圧配管部品、エンジンボルト・フランジボルトから、建築物や橋脚の基礎ボルトに至るまで、幅広い分野の重要なパーツとして転造ネジは活用されています。
②転造加工に使用するダイスの表面は研削によって仕上げられ、表面の粗さが良好な仕上がりです。ダイスの形状がネジに転写される為、作られるネジは光沢を帯びた仕上がりとなり、ダイス管理と転下径の適切な管理により、安定した品質でネジを製作できます。
③転造加工では、ネジ形状に加工したい部分を前工程で円筒形状の転下径に加工するだけで済みます。これにより、切削ネジ加工に必要なネジの切削時間や切削加工で使用するネジ切りチップを省略できるほか、全ネジやスタットボルトの加工においては、製作するネジの外形に比べて細く、転下径に近い材料を選択することが可能です。その結果、加工時間、工具費用、材料費用が削減されます。
転造のデメリット
転造には、以下のデメリットがあります。
・ネジの種類ごとにダイスが必要で、加工数量によってはダイスの初期費用が高額になるため、少量多品種に向いていない。
・ダイスの保管場所を確保する必要がある。
・一般的に設備が古く、技術者も減少している。
三栄螺子製作所は転造の課題を解決します。
・当社では、回転させた金型を油圧の力で押し出し、転下をはさみ回転させながらネジ形状に盛り上げて形成する丸ダイス転造を採用しています。平面ダイス転造やプラネタリ転造に比べ、丸ダイス同士の距離を自由に変更できることが可能なため、加工の応用性に富んでいる。また、段取りの変更も柔軟に対応でき、三栄螺子製作所が約70年受け継いできた職人の技術を最大限に活かすことで、少量多品種、1本から転造に対応できます。
・当社では、様々な大きさの加工に対応できる転造盤が4種類で5台と丸ダイスを300セット以上保有し、緊急な案件にも柔軟に対応できる転造加工を提供します。素材による転下径の違いや画像測定機を使用した形状分析など転造に関するノウハウも豊富で、お客様のご要望に合わせた丸ダイス製作から、最適な加工方法を提案いたします。
・当社では古い機械の良さを活かしつつ、メンテナスのことも考慮し、オーバーホールされた転造盤を使用して加工に対応しています。また、加工分野における職人の減少が懸念されていますが、当社では20代の若い職人の育成に取り組むなど、転造加工の受け入れ体制を維持し、新たな加工にも挑戦していきます。
・転造盤だけでなくNC旋盤、汎用旋盤、マシニングセンタも保有しており、その他、協力会社との連携によって一貫生産が可能です。
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転造加工、NC旋盤加工、マシニングセンタ加工、汎用旋盤加工など、特殊ボルト・特殊ネジ、ウィットネジ、台形ネジ、角ネジ、バットレスネジ、パイプ転造など1本から製作いたします。お問い合わせください。